「この監督さんは映画館に足を運ぶ!」の一人、沖田修一さん作品。テアトル新宿に2度通ってしまいました。
売れないメタルバンドのボーカル・永吉は、ネイルの仕事をする彼女に食わせてもらっていますが、できちゃった婚の報告に、実家に帰らねばならなくなる。故郷は広島の離島、戸鼻島。7年ぶりに戻った息子に、父さんは怒鳴り散らすも、やはり嬉しくて大宴会。その夜倒れて病院に運ばれ、末期の肺がんで余命宣告を受ける。筋立ては「泣きのホームドラマ」にピッタリですが、そこは沖田監督。島のの〜んびりした時間の中でクスクス笑わせ、所々でホロリとさせる、絶妙の構成を見せてくれます。
キャスティングが良い! カープ命のもたいさん母さん大好きです! 柄本さんも、幼なじみの医者・木場さんも、父さんが顧問を務める吹奏楽部の清水さんも野呂君も、担当の看護士さんも、良い顔してます。
ラスト、父親に結婚式を見せようと病院の中で式の準備をしますが、嵐で船が来ず、肺炎患者の修道女さんが神父代行する混乱ぶり、その途中で父さんは発作を起こし、大騒ぎでベッドを治療室に運ぶうちに、勢い余って皆が手を離してしまい、ベッドが独走して壁にガラガラドッシャーン、なんて最期で、これっぱかしもしんみりさせてくれません。素晴らしいです!(笑
戸鼻島(とびしま)は架空の島ですが、ロケは瀬戸内の下蒲刈島・上蒲刈島・豊島・大崎下島の4島で行われたそうです。豊島は、数年前に2年連続で旅したなぁ。また行きたくなりました。
「モヒカン故郷に帰る」 2016 監督=沖田修一