8月31日から9月2日にかけて、また2泊ばかり小豆島へ行ってきました。
昨年も豊島を訪れましたが、今年は「瀬戸内トリエンナーレ2013」の年なので、船の便も島のバスの本数もずいぶん増えているようです。昨年、ガツガツ余裕なく動き過ぎた反省から、今年はゆ〜〜っくりが目標だったのですが、行くとやはりあれもこれもという欲張った気持ちに…
今回の一番の目的は犬島「精錬所美術館」。1909年に建てられ、たった10年間で閉鎖された煉瓦造りの銅の精錬所を、部分的に生かしつつ美術館に仕立てています。中の柳幸典作品だけでなく、この建物自体が「巨大インスタレーション」な風情。聳え立つ赤茶色の煙突に蔦が這い上る様など、息を飲む美しさ!
そして、この島のもう一つの見所は「家プロジェクト」。直島でもこのプロジェクトをやっていますが、今も住人が生活する街のあちこちに、A邸、F邸、S邸と称して、家屋を生かしたもの、更地にして展示空間を作っているもの取り混ぜて、7点の作品群が点々と散らばります。歩いて廻るのに丁度良い距離。台風とかぶっていたので、曇天で歩きやすかったものの、油断して足に日焼け止めを塗りそびれたら、後でサンダル履きの足首周りが真っ赤な火傷状態に! 島の紫外線恐るべし。炎天下ならば、完全装備が必要かと。
個人的に可笑しかったのは、ある作品のはす向かいに、自由参加しているおじいさんがひとり。アートのひとつなのかと小屋の入っていくと、農機具や玉ねぎが散らかった小屋におじいさんが座っていて、その昔「西武警察(懐かしい!)」のロケが訪れた折に撮った渡哲也、舘ひろし(皆若い!)のスナップと、ついでに自慢の鯉をお披露目。トリエンナーレとは何の関係もないのですが、楽しそうなのでまぁお祭り的で微笑ましい。
前日から船のタイムテーブルとにらめっこして、昼過ぎにはせかせかと豊島へ。昨年は東寄りの唐櫃港から入って「ボルタンスキー」「豊島美術館」を見て廻りましたが、今年は西寄りの家浦港から入って、足で歩ける範囲を4件巡りました。
まずは「豊島横尾館」。普通の家並みの中に、いきなり黒壁と赤いガラスの建築物が。サイロのような黒いドカンとした筒状建物が横にくっついて「これ何?」な感じです。倉・母屋・庭園・納屋と一般家屋だった頃の構造を生かしつつも、庭石は赤と黒だし、母屋の床はガラス張りで、足の下を池と赤石・黒石と、ついでに鯉が泳ぐ異次元さ。筒状建物の中は、壁をぐるりと、夥しい数の世界の滝名所ポストカードが整然と埋め尽くし、天井と床が鏡なので、その滝のカードが、延々と奈落へ落ちていくような幻惑。横尾さんはポスター時代の方が好きで、絵にあまり興味はないんですが、美術館全体はまさに「これ何?」なカオスで、結構楽しかったです。
港に面した「トビアス・レーベルガー」。二階建ての家屋の内部が、壁面、椅子、テーブル含め丸ごとポップな黒白ストライプ作品で、カフェになっているので見晴らしの良い2Fのテーブルで一休み。コーヒーもなかなか美味。居心地の良いアートでした。
たくさんの若い人たちが、全品鑑賞できるパスポートを首から下げて見て廻っているのには感心しました。美術鑑賞はともかく、島の移動は全て船で、フェリーでも¥700前後、高速艇ならば(時間は半分)¥1,000〜¥1,200と、それを何度も乗り継がねばならず、決して節約旅行は出来ない事情があります。自分の学生時代ならば、この美術旅行は無理かなぁとも。
いりこで有名な伊吹島にも行ってみたかったのですが、かなり離れているので今回は断念。でも、高松空港経由だったので讃岐うどんを賞味、小豆島の朝ご飯で出たもろみや佃煮が美味だったので土産に買って帰り、楽しい旅となりました。