以前見た「百万円と苦虫女」が好きだったので、タナダユキ監督新作をテアトル新宿へ見に行ってみました。
上り調子でない今の自分にとって、「何かを勝ち取る」や「絶対的な家族の絆」は気持ちが引いてしまいますが、こういう映画は沁みます。
身の丈にあった幸せがあれば良しと思っているだけなのに、歯車がずれてあらぬ方向へ転がり出す。それに逆らえず、痛みを抱えて生きていくしかない〝特別ではない人たち〟をタナダ監督は描きたかったそうです。
時折映し出される広い河川敷やイチョウが美しく、どの辺りのお話なのかなぁと。原作者・窪美澄さんの出身が東京都稲城市とあるので、河は多摩川なのでしょうか。
撮影の大塚亮さんは「ゲルマニウムの夜」「魂萌え」「まほろ駅前多田便利軒」と絵作りが印象に残っている作品ばかり。
小箱に入れて、大事に取っておきたい感じの作品でした。
「ふがいない僕は空を見た」 監督=タナダユキ