仕事の入稿を終えて、映画検索などしていたら、なんと1日は「映画の日」。1000円はありがたいぞと、慌ててチケットをゲット。バルト9でも大きい方の405席スクリーンが、平日夜にもかかわらずほぼ満席で、皆さま割引などの情報はマメにチェックするのだなと感心しました。
そして映画、楽しかったです。文句なく。本当に脚本がうまいですね。
あとは画面の作り込み。カチッとした文字で埋め尽くされた香苗(広末涼子)のシステム手帳と、おおよそ成功しそうにない桜井(堺雅人)の汚〜い字の逃亡計画表。整理され、アルコールで拭き取ったように無機質なコンドウ(香川照之)の部屋は、桜井に入れ替わって見る間に散らかり、逆にごった返しの桜井の部屋は、コンドウが住むうちピシ〜ッと片付けられる。
それから、香苗の父親(小野武彦)が自分の余命を知っていて、妻と娘に当ててビデオレターを残すのですが、葬式の折、みなが涙で見ている途中で「今日のお前のウェディングドレス姿が見られなくて残念…云々」なんてセリフになり「あ、DVDが違う!ちょっと止めて」とお母さん(木野花)。斎場の担当があわててDVDケースを確認すると「結婚式用」のラベル。泣き笑いです、ホント。隅々まで目に楽しい作り込みがなされ、これはDVDで繰り返し見てしまいそう…
前作「アフタースクール」の時、田畑智子が愛人だと信じて疑わずに見ていて、きれいに騙されましたが、今回も血なまぐさいシーンから始まって「おや、今回はハードボイルドか?」と思っていたら、やはり騙されてしまいました。
コンドウが仕事の時にかけるベートーヴェン『弦楽四重奏』は、ハマったのでCDを買おうとしたら1〜16番まであるので(さらにそれぞれに4楽章ずつ)、Amazonで視聴しまくって、暗め重めの始まりだったから14番あたり?と、スメタナカルテット盤を買ってみました。着信も第九だし、コンドウはベートーヴェン好きってことですかね。
かつて、シャンテのプログラムはシナリオ採録がお約束でしたが、近頃は岩波ホールぐらいしかお目にかかれません。今回のこの作品、プログラムのシナリオ採録は大変うれしいです。あちこち読み返しては、クスっと笑うお楽しみがありました。
「鍵泥棒のメソッド」 監督=内田けんじ