原作は未読ですが、物語が非常に面白かったです。
冒頭、将軍の前での囲碁の対局。世紀の大勝負のはずが、日蝕のせいで中止になります。暦がずれていることで生じる多くの不具合を正したい幕府と、膨大な利権が絡む暦を独占したくて、改暦を許さない朝廷。この対立のまっただ中で、改暦プロジェクトの責任者に抜擢される安井算哲のお話。
声の良い人が揃っています。宮﨑あおいの声は前から好きですが、算哲・岡田准一、光圀・中井貴一、特に算哲を任命する保科・松本幸四郎は本当に聴き心地の良いお声。
あとは、目に楽しい大道具小道具の数々。高台に立つ観測所の、ダンゴムシの背中のような天井が、ガコンガコンと開くシーンなど、ワクワクしましたね。
「壬生義士伝」「おくりびと」と、素敵なシーンがいくつもあるのに、クライマックスでベタベタな「泣かせシーン」を押し売りされて残念だった最近の滝田作品。今回は最後まで楽しめました(師匠が殺されるシーンが少々やり過ぎな気もしましたが…)それに、この大人数を出して、それぞれのキャラがしっかり立つ群像劇は、すごい手腕だと。岸部・笹野のコンビも飄々とした良い役どころでした。
「天地明察」 監督=滝田洋二郎